石田国際特許事務所 株式会社イシックス
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石田国際特許事務所 パテントコラム バックナンバー
バックナンバーはこちらをご覧下さい。


【特許庁 特許ライセンスに関する新制度創設へ】 (2月17日 日刊工業新聞)
  特許庁は、今国会で提出予定の特許法の改正法に、特許のライセンスを受けた事業を保護する新制度を盛り込み、ライセンスの存在を立証すれば新たな特許権者に対抗できることとするようです。
  現行制度では、通常実施権者(ライセンシー)は、特許権者(ライセンサー)に対抗し得ず、例外規定も設けられていないため、特許権者が特許権を第三者へ譲渡した場合に、通常実施権のライセンスを受けている企業が、新たな権利者から差し止め請求を受ける、という危険がありました。
  今回盛り込まれる新制度では、ライセンスの存在を立証すれば新たな特許権者に対抗できることとし、ライセンサーの唐突な権利譲渡によってライセンシーが事業を中断せざるを得なくなる、という事態の解消を図るようです。
  この新制度の導入によって、ライセンシーの事業の安定性、継続性が担保されることとなり、ひいては、特許のライセンス市場が拡大していくことでしょう。

【都道府県に中小向け知財支援の総合窓口設置】  (2月3日 日刊工業新聞)
  特許庁は、2011年度から、地域、中小企業向けの知的財産権支援策を一新し、都道府県に「知財支援窓口」を設置するようです。
  この支援窓口は、国が費用を負担し、都道府県毎に、中小企業振興機関等の外部団体に委託するようで、模倣品対策等を含めて中小企業が抱えるあらゆる知財関連の課題に対応可能なものを目指すようです。記事によれば、すでに委託先の公募も始めており、新年度からの本格的な始動を目指す、とのことです。
  かかる総合的な支援窓口の設置により、リーマン以降元気を失っている中小企業の活性化が期待されるところです。

商標「ありふれた氏」に該当する特許庁の審査基準  

 昨年7月に我々からお送りしたニュース紹介におきまして、「こんの」の商標が「今野」や「紺野」に通ずる「ありふれた氏」に該当するものとして拒絶審決がなされたという事例を紹介いたしました。ここでは、「全国の苗字」及び「日本の苗字7千傑」という二つのウェブサイトの検索結果を利用して同じ氏をもつ人の数や世帯数を割り出し、「今野」や「紺野」の氏がありふれているかどうかを判断していました。
なぜ私がこの審決にこだわるかと言いますと、これまでの特許庁の審査では、氏や名称がありふれているかどうかを判断する材料は特許庁の審査基準に従って、一貫して50音別電話帳に掲載されている氏の数で判断されてきたものが、当該審決では、信憑性も定かではない前記二つのホームページを使って「氏」がありふれているかどうかを判断したものであったためです。こうした背景には、固定電話契約件数の減少や、電話帳へ掲載しない家庭の増加などといった事情から、電話帳はもはや「氏」の数を正確に反映するものではなくなったとの認識が特許庁にもあったのではないかと予想されます。
 そこで次に湧いてきた疑問は、これらのウェブサイト情報を使ったとして何人程度又は何世帯程度の氏があれば「ありふれた」とされるのかという問題です。これまでの審査では、東京23区50音別電話帳で30世帯とか50世帯などと言われてきました。そこで、今までの審決データの中からこれらボーダーライン付近にあるような名前をピックアップして、上記「全国の苗字」というウェブサイトで検索したところ、なかなか興味深い結果を得ることができましたのでここに紹介させていただきたいと思います。

・1,000世帯以下のケース
検索の結果、世帯数が1,000に満たないケースでは登録されているケースが多いような印象を受けました。氏がありふれているかどうかを争点として登録審決となった事案として、例えば、「タキヤ」「ナガキ」「トヨムラ」「五嶋」「吉浜人形」「かも井/KAMOI」などの商標がありましたが、滝谷姓は801世帯、永木姓は773世帯、豊村姓は656世帯、五嶋姓は940世帯、吉浜姓は561世帯、鴨井姓は163世帯というデータを前記ウェブサイトから得ております。もちろん、世帯数が1,000に満たなくても拒絶審決とされたケースはありましたが、その数はかなり少ないものでした。

・1,000世帯〜3,000世帯のケース
世帯数が1,000〜3,000程度ですと、登録審決とされたケースと拒絶審決とされたケースとが混在しており、この辺りがボーダーなのかなという印象を受けました。例えば、登録になった事案として、「HAMAYA」「辰巳」「いぶき」「常盤」「YASUMA/ヤスマ」が、拒絶になった事案として、「KUZUMI」「MAMIYA」「HIOKI」「もがみ/最上」「吾妻」「IKE」などがありました。その数を見ると、登録された浜谷姓は1,940世帯、辰巳姓は2,823世帯、伊吹姓は1,363世帯、常盤姓は2,117世帯、安間姓は1,170世帯であり、拒絶された久住姓は1,129世帯、間宮姓は2,823世帯、日置姓は2,902世帯、最上姓は1,925世帯、吾妻姓は1,297世帯、池姓は1,790世帯というデータでした。

・3,000世帯以上のケース
世帯数が3,000を超えると登録された事案はかなり少なくなります。最初に紹介した「こんの」も「今野」の世帯数は20,000世帯近くありましたから拒絶されたのも当然でしょう。しかし、3,000世帯以上あっても登録された例は散見されます。例えば、「NOMA」「桂」「YAMATO」「YOSHIMI」などの商標は、野間姓4,374世帯、桂姓3,529世帯、大和姓5,384世帯、吉見姓3,942世帯となっておりますが、氏がありふれているかどうかを争った末に登録審決となっております。

  データから見た結果としては以上のとおりではありますが、審決に至るまでには、当該商標から直ちに名前と認識されるか、名前以外にも他の意味が生じないかなど、様々な要因が考慮されるわけですので一概に数だけで結論が出せる問題ではありません。しかし、中にはなぜそういう結論になったのかよく分からないケースがあることも事実です。いずれにせよ、「ありふれた」と言えるかどうかが問題となった場合には、客観的なデータが何もなければ水かけ論的な議論に終始してしまい、それでは拒絶を覆すことは困難となってしまいますから、こうしたデータを常日頃から収集し、客観的で説得力のある反論ができるよう磨きをかけていきたいと思います。
 
 
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