パテントコラム

2021年4月

【Topic.1】国際特許出願件数 中国が2年連続首位

(2021年3月3日 日本経済新聞)

WIPOは3月2日に2020年の国際特許出願件数の統計を発表しました。全体として前年から4%増の27万5,900件という過去最多の出願があったようです。新型コロナの影響により世界経済は大きな損失を被っていますが、現実世界における接触回避の手段としてのコンピュータ技術やデジタル通信の分野での技術開発が急速に進んだためと言われております。

国別の出願件数をみると、7万件弱を出願した中国が2019年に続いて首位をキープしました。中国は10年前から約6倍に件数を伸ばしており、2017年に日本に追いつき、2019年に米国を抜いて首位に立ちました。国がハイテク産業に多額の補助金を投じたことが、中国を知的財産強国としての地位へ押し上げたものと言えます。1位中国、2位米国、3位日本という順位は当分続きそうです。

なお、商標の出願(国際商標登録出願)件数は、6万3,800件。これは微減とのことです。新型コロナによる景気の悪化がその一因とみられております

【Topic.2】営業秘密の不正取得が最多

(2021年3月26日 日本経済新聞)

「特許庁は特許の効力を争う審判をオンラインでできるようにする。これまでは当事者が審判廷に出向いて公開で行っていた。新型コロナウイルスの感染拡大を機にデジタル化の機運が高まっていることに対応する。IT(情報技術)分野など高度な訴訟を念頭に一般から意見募集できる仕組みもつくる。」とのことです。
新型コロナウイルスの感染拡大が治まらない現状では当然の対応かと思います。一般の意見募集の仕組みは、特許権の侵害訴訟において、人工知能等の最先端の技術分野では裁判官の知識や理解が十分でないことを鑑みて、裁判所が必要と判断した場合に、訴訟の影響を受ける業界から意見を募集し、判断材料に使えるようにするという意図のようです。