パテントコラム

2017年3月

【Topic.1】大企業、職務発明に対して手厚い報奨へ

(2017年2月22日 日本経済新聞)

三菱電機、トヨタ自動車、味の素等の大手企業は、職務発明に対する報奨制度をより充実させることを検討しているようです。具体的には、三菱電機では、社外で高く評価された社員に上限を設けることなく報償金を支払う制度の導入を検討しており、トヨタ自動車では、画期的発明に対する報償金の額を2割増しにする他、画期的発明の基準となる「80万台の販売台数」の基準を緩和することを検討しているようです。
このような動きは、AI(人工知能)やIOT(あらゆるものをネットに繋げる技術)等の技術の進化に伴って、国や業種を跨いだ優秀な人材の争奪の激化が予想されることが背景にあるようです。
このような大企業の職務発明に対する手厚い報奨が国内の技術者等のインセンティブとなって質の高い発明の創出に繋がれば、国内産業の景気動向にも良い影響を及ぼすことでしょう。

【Topic.2】地方の知財活用の活性化進む

(2017年2月20日 日本経済新聞)

地方企業による知的財産を利用した事業展開の活性化が進んでいるようです。単に中小企業の特許出願の件数が増加しているのみならず、専門家の支援に基づいて、特許のライセンス契約を含めた大企業とのビジネスマッチングを成功させた事案や、新たなビジネスモデルを創出させた事案が増加しているようです。また、知的財産に基づく資金調達を実現させた案件も増えているようです。
知的財産に基づく資金調達の面では、特許庁が2015年に導入した「中小企業知的財産金融促進事業」が活用されています。この制度は、特許庁から受託された事業者が、中小企業に赴いて知財を含めた技術内容のヒアリングを行い、その内容に基づいて「知財ビジネス評価書」を作成して金融機関に提出する一方、金融機関が、その「知財ビジネス評価書」の内容を見て、有望と判断した企業に対して融資を行う、というものです。
地方企業による知的財産を利用した事業展開の活性化には、特許庁等が各都道府県毎に設けた「知財総合支援窓口」も寄与しているようです。
昨今の景気回復も、その恩恵が中小零細企業にまで十分に行き渡っているとは言い難い状況です。上記したような地方企業による知的財産を利用した事業展開の活性化によって、好景気がより堅調なものとなってくれればと思います。