パテントコラム

2018年4月

【Topic.1】リンゴのロゴ 使用巡り裁判 中五社販売2社

(2018年2月1日 日本経済新聞)

「不当に標章(ロゴ)使用の差し止めを求められたとして、愛知県などで中古車販売店を展開する『アップルワールド』が、中古車販売チェーン大手『アップルオートネットワーク』に対し、差し止め要求の取りやめと330万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした」とのことです。両者ともリンゴの図形をデザインした商標登録を有しており、侵害であるとの警告書を受領したアップルワールド社(登録者は個人)は登録商標自体を使用しています。両マークが類似か非類似かについては確かに微妙ですが、特許庁が非類似と判断して現に権利が有効に併存しているところ、どのような判断がなされるか、注目していきたいと思います。

【Topic.2】作者の死後70年に  小説や音楽の著作権

(2018年2月11日 日本経済新聞)

「政府は小説や音楽の著作権の保護期間を原稿より20年長い『作者の死後70年』にする著作権法の改正案を今国会に提出する方針を10日までに固めた。」とのことです。
1970年に制定された現行の著作権法は「死後50年」ですが、改正されればおよそ半世紀ぶりとなります。
著作権の期間については賛否両論あり、欧米の多くの国では著作者の死後70年に延長されている一方、日本では「過去の作品を広く社会が活用するために延長すべきでない」との意見が強く50年となっています。ただ先頃日本が締結した環太平洋経済連携協定(TTP)11によれば著作権保護期間は著作者の死後70年であり、記事によれば、政府は著作権保護期間延長を含む改正案を提出する予定、とのことです。

【Topic.3】途上国の知財活用支援 特許庁、特産品商標化など

(2018年2月20日 日本経済新聞)

「特許庁は、途上国の知的財産権のビジネス化を支援する」とのことです。「これまで審査能力強化やIT(情報技術)化など知財保護に重点をおいてきたが、知財を活用して経済成長につなげられるよう協力の幅を広げる。地域産品のブランド力を高めるために商標化を後押しするほか、産官学をつなぐ体制構成を促す」とのことです。具体的には特許庁とWIPOの枠組みにノウハウを持っているジェトロが加わり、地域の優れた製品を発掘し、品質基準や生産組合の規約などを制定し、ロゴマークの作成を支援して商標登録を後押しするとのことです。これまでは知財に関し、審査体制の整備などの支援が主でしたが、ブランド力を高めた製品の販売により、地域経済の活性化を図り、国の成長につなげることを期待しての取り組みのようです。また、途上国の大学、産業界、政府をつなぐ会議対の設置の後押しなども行うとのことです。