パテントコラム

2019年9月

【Topic.1】東京地裁・大阪地裁 知財調停制度の導入へ

(2019年8月1日 日本経済新聞)

東京地裁および大阪地裁は、ビジネスで生じた知的財産を巡る紛争の迅速な解決を図るため、10月1日から、「知的財産権に関する調停手続」(「知財調停」)について、新たな運用を開始するようです。
この新たな知財調停制度は、柔軟性、迅速性、専門性、非公開を特色としており、具体的には、

  • 当事者は、調停手続の審理を踏まえ、訴え提起や仮処分の申立てをすべきかどうかについて検討をすることもできる
  • 原則として,3回程度の期日内で調停委員会の見解を口頭で開示する
  • 知財部の裁判官及び知財事件についての経験が豊富な弁護士・弁理士などから構成される調停委員会により手続が進められるので,専門性について,訴訟等と遜色のない審理がされる

等の特色があるようです。

最高裁の情報では、2018年の知的財産関連訴訟の平均審理期間は、地裁レベルで12.9ヶ月のようですが、この知財調停制度では、概ね、3~6月で結論が出されるようです。なお、調停が成立した場合には、合意内容は確定判決と同等の法的拘束力を持つとのことです。
他社との知財係争の長期化は、企業にとって大きな負担となります。今回導入される知財調停制度には、知財係争に関する企業の負担の大幅な軽減が期待されます。

詳しくは、裁判所のHP(http://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/l3/Vcms3_00000618.html)をご参照下さい。