パテントコラム

2020年4月

【Topic.1】著作権料の徴収 音楽教室側控訴

(2020年3月6日 日本経済新聞)

「日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室からの著作権使用料徴収を決めたのは不当として、教室側がJASRACに徴収権限がないことの確認を求めた訴訟で、教室側は5日、『使用料は徴収できる』とした東京地裁判決を不服として、4日に知的財産高裁に控訴したことを明らかにした」とのことです。
本件は、2月のコラムでも紹介しましたが、音楽教室でレッスン中に演奏される楽曲につき著作権料の支払いを求めるJASRACに対し、当該協会には著作権料支払いを求める権限はないと主張して全国の約250の音楽教室が原告となり提訴した事件です。一審の東京地裁は原告(教室)側の主張を退け、著作権料の徴収を認めましたが、今般、教室側は東京地裁の判決を不服として控訴したことが報じられています。教室で講師が生徒に対して手本として演奏する場合も著作権料を徴収できるのか、についての判断で、地裁は音楽教室での楽曲の利用主体は講師や生徒ではなく、教室を運営する事業者だと指摘し、徴収可能と判断しました。
民間機関における音楽教育と著作者の権利のバランスを知財高裁がどのように判断するか興味深いところです。

【Topic.2】特許忘れの権利失効防げ 特許庁が期限通知サービス

(2020年3月30日 日本経済新聞)

特許庁は知的財産権の登録料の納付忘れを減らすために、次回の納付期限が近づいた際にメールで通知するサービスを4月から開始するとのことです。具体的には特許庁の専用のウエブサイトを通じてアカウント登録を行い、納付期限通知の受領を希望するメールアドレスと特許番号等を登録すると、納付期限の一定期間前に特許庁より通知がなされるようです。
権利化されても年金納付がなされなければ権利は失効しますので、自社で管理をする場合、活用できるサービスと思います。

説明と手続に関する情報は次のサイトから入手できます。
https://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/kigen_tsuchi_service.html

【Topic.3】その他

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、日本特許庁及び多くの外国特許庁は、出願受理や拒絶対応を含む手続について様々な対応及び救済措置を発表しています。

詳しくは日本特許庁の次のウエブサイトに掲載されています。ご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/news/koho/info/covid19_shutsugan.html