パテントコラム

2023年7月

【Topic.1】特許非公開 25分野

(2023年6月8日・13日 日本経済新聞)

日本の現行の特許制度では、出願された発明は、出願から1年6か月後に一律に公開されるため、安全保障上問題となる発明が出願されていても内容にかかわらず公開されます。諸外国の多くは、特許制度の例外措置を設け、こうした発明の特許出願について出願を非公開とするとともに、他国への流出を防止する制度を有していますが、G20諸国の中でこのような制度を有していないのはたったの3国だけで、日本はその一つでした。この問題に対処するため、昨年成立した経済安保推進法の4つの柱のうちの一つとして「特許非公開」が盛り込まれました。
この度、この経済安保推進法に基づき国が「特許非公開」に指定できる25の技術分野が示されました。航空機にステルス性能を持たせる「偽装・隠蔽技術」や「武器に関する無人航空機・自律制御技術」など、安保上機微の高い技術が挙げられています。2024年の春以降の運用開始が想定されているようです。

【Topic.2】司法試験 パソコンで

(2023年6月25日 日本経済新聞)

弁護士や裁判官になるための司法試験について、これまで筆記試験が採用されていましたが、2026年から、パソコンを使用した試験に切り替わることになりました。
訴状等の書類を紙やペンを使用して作成するのではなく、パソコンを使用して作成することが主流となっている実情に合わせるものです。
具体的には、試験会場に用意された端末を使用して受験するCBT(Computer Based Testing)方式とよばれる方法が想定されています。このCBT方式は、既に英検や漢検などに導入されており耳にしたことのある方式ですが、法務省によると、論文が主体となる国家資格試験では初めての導入になるとのことです。
弁理士の実務においてもパソコンの使用が主流となっていることを考えると、司法試験でのCBT方式による試験の導入で問題が起こらなければ、近い将来、弁理士試験にもこのCBT方式による試験の導入について検討されることが予想されます。