パテントコラム

2025年6月

【Topic.1】カルビー「じゃがレコード」設立 ポテチ食べる音を知財に

(2025年5月1日 日本経済新聞Web版)

「カルビーは、博報堂キースリー(東京・港)、エンターテインメント企業のblowout(東京・目黒)と共同でスナック菓子を食べる音を素材とした音楽レーベル「じゃがレコード」を設立したと発表した。『おいしい音で、つくろう音楽。』をコンセプトに掲げ、ポテトチップスの『パリッ』やかっぱえびせんの『サクッ』など、商品特有の食感から生まれる音を楽曲製作に活用する。第1弾楽曲として、クリエイターユニット『niKu』が手掛けた『DAHA』をこのほど公開した。この楽曲には3種類のポテトチップスをアベル音が取り入れられている。」とのことです。
カルビーでは商品のデザインや象徴的なキャラクターを知的財産と位置づけて商品化に繋げる取り組みに力を入れているようで、このじゃがレコードも知財活用の一環として設立されたようです。カルビーのHPには楽曲URL(サブスク)とミュージックビデオURL(Youtube)とのリンクが載っています。試しに聴いてみましたが歌の間奏にポテトチップスの『パリッ』の音が入っているだけでさほど目立つ内容ではありませんでした。

【Topic.2】水素特許、中国が日本超え 総合力で初の首位 製造分野強く コスト抑え受注伸ばす

(2025年5月3日 日本経済新聞)

「中国が水素関連の特許競争力で日本を上回り、初めて首位になった。中国勢は水を電気で分解して水素を取り出す電解槽など、主に製造分野で技術力を高めている。欧米ではインフレで水素の生産を中止する動きが広がり、差は広がる。太陽光や洋上風力でも中国は高い競争力があり、脱炭素エネルギーで中国の存在感が高まっている。」とのことです。
単純な特許の保有件数ではなく、日経新聞社が出資するデータ分析企業のアスタミューゼが、実現性や権利の残存期間などの競争力を点数化して順位付けしています。前回の調査では日本が総合力で首位、中国が2位だったところ、習近平国家主席が2030年より前にCO2排出をピークアウトさせる方針を示した後、年間出願数が日本の2倍に増えたそうです。日本では燃料電池といった民生分野での水素の需要が多いですが、中国では製鉄といった熱分野での代替エネルギーとして水素が利用されているようで、消費量には雲泥の差があります。技術開発の進み方に違いが出るのも当然かも知れません。

【Topic.3】最大1億円の懸賞金、業務効率化のAI開発に 経産省

(2025年5月9日 日本経済新聞Web版)

「経済産業省は9日、製造業の課題解決や行政業務を効率化する人工知能(AI)の開発を対象にした懸賞金を設けると発表した。優れたAIアプリを開発した参加者に最大1億円の成功報酬を支払う。」とのことです。
日本国内の企業や大学、日本国籍の個人が対象となるようで、2025年内に成果物を提出してもらい、26年3月末に審査結果を発表することになっています。特許庁の審査を効率化する部門の1位には1億円が支払われるとのことです。応募する人の中にはこのAIアプリの開発にもAIを使う人がいるんでしょうね。

【Topic.4】Baidu(百度)のAI新特許:ペットの鳴き声を人間の言語に翻訳する技術の可能性と課題

(2025年5月14日 innovaTopia)

「中国の大手テクノロジー企業Baiduが、動物の鳴き声や行動を人間の言語に翻訳するAIシステムの特許を申請し、この特許が2025年5月6日に中国国家知識産権局によって公開された。このシステムは、動物の発声、行動パターン、生理学的信号などのデータを収集・分析し、AIを使って動物の感情状態を認識する仕組みだ。認識された感情状態は意味のある情報としてマッピングされ、人間の言語に翻訳されることを目指している。」とのことです。
AI分野に強い中国企業らしい話題ですが、Baiduによればこの技術は研究段階で、製品化の時期については明言されていないそうです。
日本ではかなり前に「バウリンガル」という犬語翻訳機が販売されていましたが、翻訳の正確性については疑問視され、おもちゃの域を出ない扱いとされていました。AIが使われるとなると「バウリンガル」よりも正確性は高くなりそうですが、動物の声だけでなく、心拍数等のバイタルサインも含めての判断なので、コミュニケーションツールというよりも病気の早期発見に役立つかも知れません。