2025年9月
【Topic.1】「ポッキー」立体商標登録
江崎グリコは、「ポッキー」の立体商標を登録させるために消費者アンケート調査を行い、9割以上の消費者が形状だけでポッキーと認識できるとの回答を得て、その結果を踏まえて特許庁が登録を認めたというのが記事の概要です。食品の形状が商標登録される例は少なく、今回の決定は注目に値します。
立体商標制度は1997年4月1日に施行されました。施行日当日に出願されたキューピー人形が最初の立体商標出願でした。しかし登録第一号はケンタッキーのカーネル・サンダース像です。両方とも同日に登録査定が出されましたが、ケンタッキーの方が先に登録手続を行ったようです。これらはいずれも商品そのものの形状ではなく、販促用の人形やキャラクターであったため、消費者に直感的に識別されやすく、比較的スムーズに登録に至りました。
これに対して、コカ・コーラの瓶やヤクルトの容器、そして今回のポッキーのように「商品そのものの形状」を立体商標とする場合は、事情が大きく異なります。単に形が独特であるだけでは不十分で、形状が消費者に浸透し「見ただけでそのブランドを思い起こさせる」レベルでなければ登録は認められません。つまり、登録のハードルは格段に高いのです。
コカ・コーラのコンツアーボトルは世界中で長年販売され、曲線的な形状自体がブランドの象徴として定着しました。ヤクルトの容器も、一貫した形状で長期にわたり販売されたことで「あの形を見ればヤクルト」と認識されるに至りました。こうしたブランド力の証明があって初めて登録されたのです。ポッキーも同様に、1966年の発売以来親しまれ、棒状ビスケットに片側だけチョコをコーティングした形が消費者に深く浸透しました。今回、グリコは調査データを用いて「形状だけで識別可能」であることを立証し、登録に結びつけました。
まとめると、立体商標には二つのタイプがあります。カーネル像やキューピー人形のように商品に付随するキャラクター的造形物と、コーラ瓶・ヤクルト容器・ポッキーのように商品そのものの形状です。前者は比較的登録が容易である一方、後者は高度な識別力の証明が不可欠です。
今回のポッキーの登録は、立体商標の活用事例として注目されます。商品形状そのものがブランドとして保護されることを示す好例であり、今後のブランド戦略や模倣対策において参考となるでしょう。

