2025年10月
【Topic.1】AI学習 著作権訴訟和解 米アンソロピック 作家らに2200億円
「人工知能(AI)開発の米アンソロピックは5日、AIの学習に海賊版書籍を使い著作権を侵害したと米作家らに訴えられた集団訴訟で、15億ドル(約2200億円)を支払って和解することで合意した。AI開発企業に対する米国の主要な著作権訴訟で和解に至るのは初めて。」とのことです。
15億ドルは、公になった米国の著作権訴訟の支払額では過去最大だそうです。連邦地裁は、アンソロピックが合法的に購入した書籍を使うことについては「フェアユース(公正利用)」に当たり、海賊版を使っていた分に対してはフェアユースに当たらないと判断したそうです。
AIをめぐる著作権訴訟は、米国で30件ほど進行中だそうで、日本でも読売新聞東京本社などが8月に、記事を無断利用されたとして、生成AIを使った検索サービスを展開する米パープレキシティ社を相手取って、利用差し止めと損害賠償などを求めて東京地裁に提訴しています。米国では侵害を認める判決と認めない判決とが混在して判断が割れているようですが、日本の裁判ではどのような判断がなされるのか注目されます。
【Topic.2】偽ラブブ183万個 中国当局摘発、価格は正規の1/40 自国発、知財対策に苦労
「中国の税関当局は世界で人気が高まる同国発キャラクター『ラブブ』の偽物を1~8月中旬に183万個摘発した。中国は外国ブランドの偽造品を大量生産して国際社会から批判を浴びてきた。自国発の人気商品の登場で取り締まる側の苦労を味わっている。」とのことです。
中国の市場規模からすると183万個では収まらない筈で、水面下ではもっと流通していそうです。これを機に模倣される側の痛みを知って知財対策を強化して欲しいものです。
ところで「ラブブ」は、ご存じの方がおられるかも知れませんが、耳が長くで外形はウサギのようですが、顔は大きな目と尖った歯とが特徴的なモンスターのぬいぐるみです。個人的にはあまり可愛いとは思えず、なぜ人気商品なのかよく分かりません。まあでも今月に閉幕した関西万博の「ミャクミャク」も意外に人気が出たようですので、何が人の気を惹くのか分からないものです。
【Topic.3】世界初、AIのみの実験で取得された半導体特許
「New York General Group(本社:アメリカ合衆国、代表:村上由宇)は、村上による発明『温度制御型エネルギー増幅機能を有する二次元/三次元ハイブリッド半導体構造及びその応用』(特許第7733347号)に関して、日本国特許庁より特許を取得したことを発表いたします。本発明は、半導体に関し、世界で初めて『全ての実験がAIによるコンピュータシミュレーションのみで行われた』上で特許化された事例です。」とのことです。
発明内容は、「単層MoS2とバルクInSeを組み合わせた二次元/三次元ハイブリッド半導体構造において、温度制御によって負の熱消光効果(温度上昇に伴い発光強度が増加する現象)を選択的に増強する技術」とされていますが、技術内容はよく分かりません。特許公報を見ると、確かに【実施例】の欄に「以下の実験は、New York General Group社のCategorical AIを使い行われた。」と記載されています。
この特許の審査経過を見ると、明確性等の別の理由で拒絶理由通知が出されているだけで、特にAI使用を明記したことによる指摘(考えられるのは実施可能要件違反?)はありませんでした。
「世界初」は本人が称えているだけで、実際には明細書に明記していなくてもAIを用いて実験を行っている特許出願はかなりある筈で、今後は物理・化学分野でのシミュレーションにAIがなくてはならないものになってくると思われます。AIの関わりが大きくなるとAI発明者の是非論にも影響を与えそうです。

