パテントコラム

2026年1月

【Topic.1】松田聖子さん芸名を商標出願

年末の『NHK紅白歌合戦』では、デビュー45周年を迎えた松田聖子さんが華やかな歌唱を披露し、今なおアイドルとしての存在感を改めて印象づけました。長年第一線で活躍を続けてきた方が、節目のステージでもなお多くの視聴者を惹きつける姿は、「松田聖子」ブランドとしての強さそのものだと感じました。
この紅白のニュースに絡めて、年明けには「松田聖子」に関する商標出願がネットニュースで話題となりました。「松田聖子」という商標を聖子さん本人が商標出願し、その後「宣誓書」の提出を経て登録査定が出る見込みだ、という内容です。
ここで興味深いのは、今回の出願が「所属事務所が出願人」というよくあるパターンではなく、松田聖子さんご本人が個人として出願している点です。そのため、手続としても典型例とは少し異なる流れになります。
一般的に、芸能人の名前(芸名)を所属事務所が出願する場合、商標法4条1項8号(他人の氏名等)との関係で、所属事務所は本人から「承諾書」を取り付けて提出することが求められます。しかし今回は、聖子さん本人が個人で(本名で)出願しているため、「承諾書」ではなく、『私(出願人)が松田聖子本人よ。』という内容の「宣誓書」が提出されたものと思われます。そして、この出願は現在、登録査定が出ています。
また、この出願がなされたタイミングも絶妙です。商標法4条1項8号は、2024年4月に改正法が施行され、運用が緩やかになったことを受けて翌年に出願されたのがこの商標と思われます。
改正前は、氏名や芸名の商標出願は同姓同名の人全員の承諾が求められていましたので、聖子さんが「松田聖子」を個人で出願する場合、ご自身の「宣誓書」だけでは足りず、他の同姓同名の人を探し出して全員から承諾書を取り付けなければなりませんでした。それが改正法により、著名人の承諾だけあれば良いことになりましたので、「松田聖子」という商標に関しては、聖子さん本人が宣誓書さえ提出すれば、他の方から承諾を得なくても登録へ進める、という筋書きに変わったのです。
因みに、松田聖子さんは、2024年3月に中央大学法学部通信教育課程を卒業され、学員栄誉賞も受賞されているということです。さすがの権利意識の高さがうかがえる一面に感心しています。